低身長症(小人症)について

治療と医療

低身長症(小人症)って聞いたことはありますか?

大人だけどとっても身長の低い人に出会ったことはありますか?
映画やテレビで低身長症の俳優さんを見たことはありませんか?

低身長症の有名人

世界で最も有名な低身長症の俳優さんとして知られるのはピーター・ディンクレイジ(Peter Dinklage)さん。『ゲーム・オブ・スローンズ』でゴールデン・グローブ賞やエミー賞を受賞しています。https://www.instagram.com/peterdinklage/

ワーウィック・デイヴィス(Warwick Davis)さんは『ハリー・ポッター』でフリットウィック先生とグリンゴッツ魔法銀行に務めるグリップフック役を演じたことで有名です。https://www.instagram.com/warwickadavis/

また日本ではプロダンサー/俳優のDAIKIさんが2024年大河ドラマ『光る君へ』で須麻流役を好演されていました。日本では低身長症の俳優の起用歴が初なのでは?と話題になりました!https://www.instagram.com/daikizero_official/

実は『スター・ウォーズ』シリーズでは小柄な体を活かしてケニー・ベイカー(Kenny Baker)さんがR2-D2の中に入って演じました。

どうでしょうか?この俳優さん見たことある!!って俳優さんはいましたか?

低身長症(小人症)とは?

この記事を読んでくださっている方はきっと何かで低身長症の方と出会ったり見かけて気になった方ではないでしょうか?

低身長症(小人症)は総称であって、病名や診断名ではありません。

英語ではDwarfismShort statureと呼ばれます。

『小人』という言葉は低身長症に対して使うことを避けるように指針されている言葉のため近年では小人症より、低身長症と言わることが多いです。

・英語では『Midget』は差別用語とされ、『Fワード』と同等に『Mワード』と呼ばれるほどよくない言葉とされています。

・『Dwarfism(小人症)』と呼ぶのは一般的なのですが『Dwarf(小人)』と呼ぶのは少し失礼とされているので注意しましょう!


では、低身長症って何でしょう?詳しく見ていきましょう!

低身長の定義

文字通り、低身長症とは何らかの理由により極端に背が低い身体的特徴を指します。

多くの国や学会では成人の最終身長が約147㎝(4フィート10インチ)以下の場合に低身長症とされることが多いです。また、WHOや国際小児内分泌学会(ESPE,PES)等では身長が同年齢、同性集団の平均値より‐2SD以下を低身長と定義しています。
↓標準身長・体重曲線
男児(0-18歳) https://jspe.umin.jp/medical/files_chart/CGC_boy0-18_jpn.pdf
女児(0-18歳) https://jspe.umin.jp/public/files/kyokusen0-18_2.pdf
=引用=日本小児内分泌学会

低身長症は大きく2つに分類される

不均衡性ふきんこうせい低身長(Disproportionate short stature)
体の一部(四肢や胴体等)が他と比べて著しく短い。
均衡性きんこうせい低身長(Proportionate short stature)
全体的に小さいがバランスが取れている。

低身長症の主な原因

骨系統疾患(Skeletal dysplasia)

骨や軟骨の成長に異常があるため不均衡性低身長が多い。
例)軟骨無形成症、骨形成不全症、骨端異形成症等 400種以上ある。

内分泌・ホルモン異常

ホルモン分泌の異常・不足により成長が妨げられる。均衡性低身長が多い。
例)成長ホルモン分泌不全性低身長症、甲状腺機能低下症、クッシング症候群等

遺伝的・体質性要因

両親が低身長の場合に遺伝することがある。家族性低身長として扱われる。

染色体異常・遺伝子症候群

染色体の異常や特定の遺伝子疾患で低身長になることがある。
例)ターナー症候群、プラダー・ウィリー症候群、Noonan症候群等

慢性疾患や環境要因

成長期に長期間病気があると身長の伸びが抑えられる場合がある。
例)先天性心疾患、慢性腎不全、消化管疾患(セリアック病等)、栄養不良、極端なストレス等

このように低身長になる原因はいろいろあります。
骨系疾患だけでも400種類以上あると言われていますしほかの要因を合わせると700種類以上の低身長症があると言われています。

まとめ

私も低身長になる疾患があるのはなんとなく知っていましたがこんなに多くの低身長症になる原因や疾患があるなんて全く知りませんでした。

また不均衡性低身長で体の部位のバランスの違いからくる不自由さや人からの視線で悩む人もいれば、均衡性低身長では全体的に小さくただ小さいだけと思われてしまい、なかなか不自由さや問題点に気づいてもらいにくい等、低身長からくる悩みは多種多様です。

何が言いたいかというと…現代では平均身長が高くなり、高身長の人が増えたものの、低身長症は意外と身近なのかもしれないということ。そして身長が低いというだけと思われがちですがそれぞれいろんな原因から低身長になるのでいろんな悩みが存在するのです。

今後も低身長症への認知・理解が広がっていくよう発信していきたいと思うので少しでも知りたいと思ってくださった方はほかの投稿も読んでいただけると嬉しいです!

番外編

『バーニー&フレンズ』(Barney & Friends)ってご存じですか?1992年にアメリカで放送が開始され、2010年まで続いた子供向け教育番組で日本で言うおかあさんといっしょのような番組でした。日本でも2000年~2003年まで放送されていました。最近またアメリカで人気が再来しています。

実はこの両脇の黄色い恐竜『BJ』と緑の恐竜『Baby bop』を演じているのは低身長症の方々です。私の息子・モーリーが生まれて軟骨無形成症(低身長症の一つ)だと診断された際、家族の知人だった低身長症の方をご紹介いただきました。なんと、その方が『バーニー&フレンズ』でご活躍されていた方でした。

低身長という強みを活かしたこんな素敵なお仕事もあるんだと発見、学び、希望を与えてくれ、今でも感謝している出来事の一つです!

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