子供の熱性けいれん ~アメリカで救急車を呼ぶ~

モーリーの生活

皆さんはお子さんが熱性けいれんを起こしたことはありますか?
また、日本やアメリカで救急車を呼んだことはありますか?

アメリカは医療費がすごく高額…そんなイメージを持っている人が多いと思います。実際、アメリカの医療はとんでもなく高額で日本と比べると腰を抜かすレベルです。

日本では救急車を呼ぶのにお金はかかりませんよね。税金で賄ってくれるという素敵な制度があります。近年は救急レベルではないのに救急車を呼ぶことで本当に人命に関わる人の処置が遅れることから、救急車利用にお金を請求するという案を検討している自治体も出てきています。

今回はモーリーが熱性けいれんを起こしたこと、アメリカではじめて救急車を呼んだという経験と流れについてお話したいと思います。また同時に子供の熱性けいれんについても学べる内容になっています。緊迫した状況で写真を撮っている余裕が全くなかったのでこの記事には写真がありません。ご理解の上、読んでもらえたらと思います。

※今回は生死に関わる内容になっていて非常にセンシティブな内容になっていることをご了承の上、お読みください。

風邪の症状の始まり…

モーリーが3歳を目前に控えたある日、睡眠時無呼吸症候群が重症化していることから扁桃腺、アデノイドの切除手術を控えていました。術前相談をしに行った午前中から軽く咳をしているかも?と思うようになりました。

昼過ぎから急に熱が出始めました。夕方、少し長めの昼寝から目が覚めたモーリー。熱はあるものの「パウパトロールが見たい」と意思表示もしていて熱も測ると38.0℃(100.4℉)…解熱剤飲ませるか迷うけど本人も機嫌悪くなさそうだし、風邪ウイルスと戦うのに熱を出すのも大切だからもう少し上がったらあげるか…今日、寝る前に薬あげるかな…なんて考えてました。

出張から帰ってくる夫を空港に迎えに行くため、家を出る準備をバタバタとしていました。よし!出よう!となったとき娘たちに「モーリーは?」と聞くと「また寝ちゃったよ?」と…「パウパトロール見たい」と言ってから5分くらい後のことです。

床で寝てしまったモーリーを発見!普段から床の冷たさが好きなようで床で眠るのが大好きなモーリー。また寝ちゃったのか、熱で疲れてるんだなくらいにしか思いませんでした。

今までに見たことのない息子の姿

仕方ない!寝たまま車に乗せるか…とモーリーを抱き上げるとものすごい脱力感で全く力が入っておらずだらーんとする手足。唇は濃い紫、グレーのようになっていて顔色もくすんだグレーのようで不気味な色でした。瞬間的に息が停止していると感じました。

実はモーリーの診断名である軟骨無形成症は乳児突然死症候群(SIDS)を起こす確率が普通の子に比べて5~7%高いとされているため、モーリーが生まれてすぐのころ乳児の心肺蘇生術も勉強していました。そのため、乳児突然死症候群だ!呼吸が停止している!と感じました。

焦っているとちゃんと勉強してあった心肺蘇生術も頭から吹っ飛んでしまって全く役に立たず…私、何やってんだよ!って感じでした。

息させなきゃと思ってとっさに思いついたのがCPAPを付けよう!でした。どこの家庭にもあるものではないので参考にはならないかもですが後に医師からすごく良い対応だったと褒められました。
※CPAP…睡眠時無呼吸症候群を持つ人が使用する機械。眠っているときに、のどの奥(気道)がふさがって呼吸が止まってしまう人に、空気を少し強い圧力で送り込んで、気道が閉じないようにする機械です。

CPAPを付けながら…

これは救急車か?いや…アメリカの救急車っていくらするの?自分で運転した方がいい?いや、運転している間、誰がモーリーの呼吸確認するの?そもそもこんな心理状態で運転できなくない?何分呼吸してなかったの?息子死んでしまう?脳死?どうしよう?救急車今呼ぶべき?

もう頭パンク状態な中、脳内フル回転でいろんなことを考える…早い判断を求められているのに大人は私一人、相談する人も確認する人もいません。そして私以上にパニックな娘2人。娘たちは私の姿を見てとっさに危険な状況と察知したのか「モーリーどうなるの?」「モーリーが死んじゃう!!」と泣き出してしまいました。

娘たちのパニック状態と泣き叫ぶ声で冷静に考えられず、娘たちに「大丈夫だからキッチンの方に行ってて!こっち来ないで!」とかなりきつく言ってしまいました…この時の娘たちのパニックな心に寄り添えず、きつく言ってしまったのは申し訳なかったです…正直私もいっぱいいっぱいだったのと、弟が死んでしまうかもしれない姿を娘たちが見てしまうことになるかも…そう思うと見せてはいけない!と瞬時に思いました。

911へ連絡

CPAPを付けながらモーリーの体をトントンしたり、大きな声でモーリーの名前を呼んだりしました。でも一向にちゃんと呼吸する気配も反応もありません。もう無理だ…これは救急車呼ぼう、そう決断して『911(アメリカの緊急連絡番号)』に電話をはじめました。

まず「どうされましたか?」と聞かれ状況を説明。モーリーの年齢や息をしていないことを簡潔に伝えました。その後、住所・電話番号を聞かれ、モーリーの現在の様子を聞かれました。平らに寝かせるように言われ、CPAPをつないだものの息をしているのかしていないのかよくわからず、一向に体に力は入らずダランとしたままでほとんど動きません。目も焦点が定まらず、死んだ魚のようでした。

5分ほど話しているとサイレンの音が近づいてくるのが聞こえ、CPAPをはずしてモーリーを抱えて家の外に駆け出しました。

家の外にちょうど到着した救急隊員と消防士に息子を渡しました。その時点でもまだモーリーはぐったりしていて、リズムがおかしい小さな息をしたり、呼吸が止まったりを繰り返していました。
※後で聞いた話ですがアメリカでは911に連絡すると消防車と救急車が両方来ることが一般的のようです。それはどちらか早く到着した方がいち早く救急対応を開始できるようにするためだそうです。

モーリーは救急車の中で処置が始まり、私は何が起こったのか処置をしていない隊員に説明することに…その間も気が気ではありません。その後、救急車に一緒に乗っていくか、車で後を追うか聞かれました。安全に運転できる気がしなかったので救急車に乗せてもらうようお願いして娘2人を呼んでくることにしました。

サイレンの音と光でただ事ではないと思った近所の人が出てきていたので軽く事情を説明…そのころにはモーリーがか細い声と変なリズムで泣き始めたのでこれは助かるかもしれないと少しの希望が見えてきました。

病院への搬送

今までも何度も入院したことのある病院へ搬送されることになりました。

搬送中に救急隊員より状況の説明がありました。「おそらく熱性けいれんを起こしたんだと思います。」と言われました。私はかなりびっくりして衝撃を受けました。もともと呼吸にずっと問題を抱えていたモーリー。手術前だったこともあり、てっきり乳児突然死症候群を発症したのだと思っていたので盲点でした。

実際測ってみると15分ほど前に測ったときには38.0℃(100.4℉)ちょうどだったのが救急車内で測ると39.6℃(103.4℉)、15分くらいの短時間の間に急上昇していました。

救急車で搬送中、酸素の数値が安定せず。酸素マスクをつけられているものの少しずつ呼吸しているようなのと時折、泣き声を聞けるようになり、これで助かる…と緊張が少しずつほぐれるのを感じました。意識は病院に到着してもまだはっきり戻っておらず、まだ様子がおかしいように見えました。

病院到着

病院の医師の見解もおそらく熱性けいれんだろうとことでした。

発見時、抱き上げたときに少し泡のようなよだれを垂らしていたこと、私自身子供のころに経験長女も2回経験していたことを考えると納得でした。

医師の処置を受け、解熱剤を飲ませてもらい、しばらくすると症状がだいぶ緩和されて呼吸も安定、意識も戻ってきました。

その後、なぜか3回嘔吐したためCT検査、血液検査を受けることになり、1泊入院で様子を見てから無事に退院となりました。

アメリカの救急車

アメリカでは救急車を利用すると高額な請求が来るという認識はみんな持っています。そのため通常、救急病院に行きたい場合はなるべく車で誰かに救急病院まで運転してもらうことが多いです。

また命に関わる場合の救急車利用ではないと判断されると保険に加入していても保険がカバーしてくれない場合もあるため救急車の利用は慎重になります。

私の住むテキサス州の救急車の請求額を調べてみると平均は$1500~$2500前後(約23~38万)のようです。救急車内での処置に使用した薬や設備、救急車の走行距離によっても変わってくるようです。驚くほど高額ですね…

自身が加入している健康保険のプランで救急車が補償対象になっている場合には保険が一部または全額支払ってくれて自己負担額が少ない場合もあるようです。私たちの場合はどうだったのか、もし後日詳細が分かれば情報更新したいと思います。

熱性けいれんとは?

熱性けいれんとは、発熱にともなって起こるけいれん(ひきつけ)のこと。生後6か月〜5歳くらいまでの子どもによく見られるけいれんで熱が短時間に急上昇することで起こると医師に言われました。発熱による刺激で脳が反応することが原因で起こると考えられています。

発熱が38℃以上、熱の急上昇で起こることが多く、けいれん時間は1~5分程度、けいれんを繰り返すことはあまりありません。

けいれんを起こすとはどういった症状なのか…

・急に意識を失って手足または体全体が小刻みに動いたり硬直したようになる
・白目をむくまたは一点凝視
・脱力
・嘔吐
・呼吸が止まるまたは止まったように見える

上記すべての症状を起こすとは限りませんが主な症状になります。

けいれんが起こったときに親である私たちがやるべきこと…

・まずは落ち着いてください。
→子供がけいれんした時に落ち着くのは難しいと思いますがけいれんによって死亡することは極めて稀です。予後も後遺症ないことがほとんどなので落ち着いて対応しましょう。

・子供を横向きに寝かせてください。
→嘔吐してしまった場合などに備えて嘔吐物で窒息しないよう横向きに寝かせます。

・けいれんの時間を計測してください。
→医師に見せる際にも便利なので動画を撮影するのもいいと思います。どれぐらい継続してけいれんを起こしているか把握するのは重要なので計測しましょう。

・口の中には何も入れないでください。
→舌を嚙まないように対策する必要はありません。

・呼吸の確認
→熱性けいれんでは呼吸が止まることもあります。ほとんどの場合すぐに再開し、後遺症を残すことは稀です。数十秒~1分以内に自然に呼吸が再開することが多いです。

・5分以内に自然に収まり、意識も回復した場合、落ち着いてから念のため医師の診断を受けましょう。
→意識が回復したとされる目安:呼びかけやしゃべりかけると反応する・視線を合わせられる・会話ができる・指示に従えるなど

・24時間以内に2度目のけいれんを起こした場合は早急に病院へ連れて行ってください。

では、どんな場合に緊急性があり救急車を呼ぶ必要があるのでしょうか?

・けいれんが5分以上続く
・呼吸が止まってから1分以上経過しても呼吸が再開しない
・けいれん後も意識が戻らないまたは意識の回復が悪い(けいれん後10~15分経っても意識がうまく回復しない。)
・体の一部または半身だけがけいれんしている
・顔や唇が紫・真っ青で苦しそうにしている

上記の症状がない限りは救急車を呼ぶ必要はありません。けいれんが落ち着いたらかかりつけの医師を受診すれば大丈夫です。

また、熱性けいれんは通常は特別な治療をすることはなく、解熱剤を飲ませ、熱が下がると通常に戻ることがほとんどです。成長とともに多くは5~6歳前後で自然になくなっていきます。親や兄弟で熱性けいれんを起こしたことがある人がいると、子供や兄弟が熱性けいれんを起こす可能性は高くなります。

またけいれんが繰り返される場合や体の一部だけのけいれん、体半身だけのけいれんの場合は別の原因が考えられるので早急に救急車を呼んで対応しましょう!

モーリーの場合は発見時、けいれんは収まっていてけいれんを起こしていた時間はわかりませんが5分程度前まで会話をしていたのでおそらくけいれんは5分以下。

唇が紫・グレーのような色、顔もくすんだグレーのような色でチアノーゼが出ていたことからおそらく1分以上の呼吸停止があったと推測されます。

けいれん後から呼吸停止の時間が長かったこと、意識が回復するまでに10分~15分以上はかかったと思われるため救急車を呼んだのは妥当だったと医師から言われました。

まとめ

熱性けいれんで死亡するということは極めて稀であるものの、モーリーは他の子と体の構造が色々違います。特に『呼吸』はずっと問題視してきたことだったので気づくのが少し遅かったら…頑張っても呼吸が戻らなかったら…そう考えると今日もまたこうしてモーリーと会話をしたり、ほんのり温かいモーリーを抱っこしたり、元気に「ママ」と呼んでくれるモーリーはいなかったかもしれません。幾度と生死に関わるかもしれない壁を越えてきた力強いモーリー。でもここまで本気でだめかもしれないと思ったことはありませんでした。

熱性けいれんだと知っていればもう少し気持ちも違ったかもしれません。数年前に知人のお子さんが乳児突然死症候群で実際に亡くなっていたのもあり、もともと軟骨無形成症では乳児突然死症候群での死亡率が高いことから、正直絶望的な気持ちでした。

あの時のモーリー脱力感と呼吸していない体の重みを忘れることはないでしょう…

熱性けいれんは予後が良いことがほとんどで死亡することは極めて稀ではあるものの対応を覚えていないと危険な場合もあります。絶対大丈夫というわけでもありません。1番大切なのは『落ち着いて対応すること』 『子供の様子をよく観察し、時間の計測または動画を撮ること』 『体を横向きに寝かせること』。熱性けいれんで救急車を呼ぶ必要はないものの『場合によってはためらわずに救急車を呼ぶこと』です。

万が一の時のためにぜひ熱性けいれん時の対応を頭の片隅にでも覚えておいてもらえたら嬉しいです。そして実際に熱性けいれんが起こったときの対応に役立った、お子さんが無事だったなど、少しでもお力になれたなら私は心の底からよかったと思えます。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

⁼画像引用⁼ Canva

タイトルとURLをコピーしました