こんにちは。軟骨無形成症を持つ息子・モーリーの母、えりかです。アメリカで3人の子育てをしています。
今日はモーリーの持つ軟骨無形成症の合併症の一つ、睡眠時無呼吸症候群についてお話していきたいと思います。
モーリーも呼吸問題、特に睡眠時無呼吸症候群ではかなり悩まされました。特に2歳になるまでが一番大変だったなぁと思います。そのため今回は子供の睡眠時無呼吸症候群に重きを置いてお話します。
なかなか軟骨無形成症に特化した睡眠時無呼吸症候群の情報って少ないので軟骨無形成症のお子さんが生まれていろいろ悩まれている方、軟骨無形成症のお子さんが大きくなって突然発症して困っている方のお役に立てたら嬉しいです!
軟骨無形成症と呼吸問題
睡眠時無呼吸症候群のお話の前に軟骨無形成症と呼吸問題について少しふれておきたいと思います。
軟骨無形成症はもともと喉や鼻の通り道、気道が狭い特徴があります。そのため軟骨無形成症の赤ちゃんや幼児期は呼吸問題を抱える子が少なくありません。
赤ちゃん~幼児期にかけては特に風邪を引くと重症化しやすく、肺炎になりやすかったり、入退院を繰り返すこともあります。成長と共に気道が広がって改善するものの赤ちゃん~乳幼児期の呼吸問題は深刻です。
血中酸素を測る機械・パルスオキシメーターをレンタルする
呼吸が安定しているか判断の基準として血中酸素飽和度(SpO2)を自宅で測る機械・パルスオキシメーターをレンタルする方法があります。酸素が十分に血中に送られているか、皮膚の上からセンサーを通して計測する機械です。軟骨無形成症という診断を受けていれば呼吸器科の医師も快くパルスオキシメーターのレンタルの処方をしてくれると思います。呼吸器科の医師に相談してみましょう。
この機械が家にあるだけで大きな安心材料になります。呼吸は安定しているのか、酸素がちゃんと足りているのか、呼吸補助の機械を使用している場合は呼吸のコントロールできているのかがわかります。
日本においては軟骨無形成症は小児慢性特定疾病に指定されているため、お金がかからずレンタルすることができます。アメリカにおいてはそれぞれの加入している保険によってレンタル料が変わってきます。
血中酸素飽和度(SpO2)の小児の基準
基本的には小児の血中酸素飽和度(SpO2)は95%以上が理想とされています。一瞬、数値が下がるのはそこまで気にする必要はありませんが継続的に95%を下回るようでしたら医師に相談しましょう。
継続的に91%を下回るようなら在宅酸素がある場合は酸素投与をして調整しましょう。在宅酸素がない場合は救急受診または救急車を呼ぶようにしましょう。
救急車を呼ぶ基準は下記、リンクを参考にしてください。
軟骨無形成症の合併症:睡眠時無呼吸症候群とは?
睡眠時無呼吸症候群は大きく分けて2つあります。
喉や鼻、息をする通り道(気道)が狭い、塞がってしまうことで起こる睡眠時無呼吸症候群。一般的な睡眠時無呼吸症候群は閉塞性睡眠時無呼吸症候群である場合が多いです。軟骨無形成症においてはもともと、鼻の通り、喉の通りである気道が狭い傾向にあり、閉塞性睡眠時無呼吸を起こしやすいと言われています。
中枢性睡眠時無呼吸症候群は脳から呼吸しなさいという指令が出なくなることによる中枢性呼吸異常による睡眠時無呼吸症候群。気道や肺や筋肉などの呼吸機能的には問題がないのに呼吸自体が止まってしまうという怖い症状です。軟骨無形成症においては骨に疾患があることで疾患を持たない人に比べて脳と脊髄がつながるところの穴が狭く、穴が順調に大きく成長しないことで神経を圧迫し始めると中枢性睡眠時無呼吸症候群を起こすということがわかっています。
どうやって睡眠時無呼吸症候群を診断するの?
軟骨無形成症はどちらの睡眠時無呼吸症候群も起こしやすいのがわかります。
軟骨無形成症の赤ちゃんは乳児突然死症候群を起こしやすいと言われています。様々な研究から軟骨無形成症と睡眠時無呼吸症候群の密接に関係があるとわかるまではその理由がわかっていませんでした。現在は軟骨無形成症の赤ちゃんが乳児突然死症候群を起こしやすい原因は睡眠時無呼吸症候群が深く関わっていることがわかり、命を落とす子がグッと減りました。しかし、現在でも疾患の無い子に比べて命を落とす可能性は高いため、軟骨無形成症の子が生まれると乳児突然死症候群、呼吸には気を付けてねと指導する医師がほとんどだと思います。
では、どうやって睡眠時無呼吸症候群を起こしていないかわかるのでしょうか?これは定期的に、または症状がみられるときに睡眠検査を病院で受けることでわかります。
昼寝よりも夜の睡眠の方が睡眠が深く、低呼吸や無呼吸が顕著に表れることが多いです。そのため、一般的には1泊入院で行う精密検査または簡易装置を自宅に持ち帰り、夜間睡眠時に機器を装着して検査する方法があります。
小児の睡眠検査の基準
前提に知っておくべきことは小児の睡眠時無呼吸症候群は、大人とは診断の基準が全く違うことです。赤ちゃんや幼児は脳や体が発達途中で影響を受けやすく、将来的な影響も考慮して、より厳格な診断基準になっています。
〇小児の睡眠時無呼吸症候群の重症度
| 重症度 | 1時間あたりの無呼吸、低呼吸の回数(AHI) |
| 軽症 | 1回以上 〜 5回未満 |
| 中等度 | 5回以上 〜 10回未満 |
| 重症 | 10回以上 |
※AHI…Apnea Hypopnea Index 無呼吸低呼吸指数 これは「睡眠 1時間あたり に、無呼吸と低呼吸が合わせて何回起きたか」という平均回数を示します。
まずは呼吸器科の医師とお話して睡眠検査をして詳しい検査結果を見てみましょう!
閉塞性睡眠時無呼吸(Obstructive Sleep Apnea)
睡眠検査で閉塞性睡眠時無呼吸症候群ですねと診断されると耳鼻科の医師にかかることになります。

閉塞性睡眠時無呼吸症候群の治療法
耳鼻科ではファイバースコープというカメラを鼻から入れて喉や鼻の通り道の大きさを見ます。そこで多くの場合、軟骨無形成症で勧められるのがアデノイド切除、扁桃腺切除です。
上の図にある咽頭扁桃肥大アデノイドという所と扁桃肥大という所の切除手術をします。この手術をすることで気道が広がり、呼吸がしやすくなり、閉塞性睡眠時無呼吸症候群の改善につながります。
注意点としては扁桃腺は全摘出をすれば元の大きさに戻ることはありませんが、アデノイドは再び大きくなって再手術になることがあります。特にアデノイドは子供の時に肥大しやすい部位なので赤ちゃん~幼児期に切除すると再手術する可能性が高くなります。成長するにつれてアデノイドはあまり肥大しなくなる傾向にあります。
手術するほどではない場合や術後、改善したけれど呼吸に問題が残る場合は在宅酸素、CPAP、BIPAPなどの呼吸補助装置を使用する場合もあります。呼吸補助装置については下記、手術後の治療をご覧ください。
中枢性睡眠時無呼吸症候群(Central Sleep Apnea)
厄介なのはこの中枢性睡眠時無呼吸です。閉塞性睡眠時無呼吸は気道が狭い、閉じてしまう症状があるものの呼吸をしようと努力はするのでいびきをしたり、苦しそうに呼吸したり、割と目に見える症状があったり、呼吸音などで「変だな」と感じやすい特徴があります。それに対して中枢性睡眠時無呼吸症候群は「脳が呼吸をしなさい」という指令を送らなくなってしまうことで呼吸が止まってしまうため静かに呼吸が止まった状態になります。そのため中枢性睡眠時無呼吸症候群を起こしていても本人も周りも気づきにくいというのが最大の難点です。
詳しい睡眠検査をすることで閉塞性睡眠時無呼吸症候群なのか、中枢性睡眠時無呼吸症候群なのかもわかります。
閉塞性睡眠時無呼吸症候群の治療法
医師から中枢性睡眠時無呼吸があると診断されると、脳神経外科にかかることになります。脳神経外科でMRIを撮ってもらい神経の通り道が圧迫されていないか確認します。軟骨無形成症の中枢性睡眠時無呼吸のほとんどの原因は大後頭孔狭窄という脳と脊髄の境目部分がの通り道が狭くなることで起こることがわかっています。そのため生まれてから数年は症状がなくても脳神経外科医が大丈夫と判断するまでは定期的にMRIをするよう勧められます。
大後頭孔狭窄の多くは2歳までに起こることが多いとされていますが2歳以上で見つかる場合もあります。大後頭孔狭窄と診断されると治療法は大後頭孔減圧術という手術をすることになります。

この時は通り道が狭くなっているものの、まだ神経圧迫まではないということで手術は見送り、経過観察となりました。

骨が神経に触っていて圧迫されているのがわかります。この時は手術が決定して大後頭孔減圧手術を受けました。
大後頭孔狭窄が起きているときの症状は中枢性睡眠時無呼吸症候群だけではありません。中枢性睡眠時無呼吸症候群が起こる前に対処するためにも軟骨無形成症と診断された子は定期的に脳MRIを受けるよう医師より指示されることが多いです。
閉塞性・中枢性睡眠時無呼吸症候群の治療:手術後
閉塞性睡眠時無呼吸症候群・中枢性睡眠時無呼吸症候群どちらの治療で手術した場合、2~3か月後に再度、睡眠検査をする場合が多いです。手術した後、どの程度の睡眠時の問題が改善したかを確かめるための検査になります。
赤ちゃんの月齢が幼すぎて医師が手術を勧めない場合や手術後に閉塞性睡眠時無呼吸症候群が改善したもののまだ問題が見られる場合には在宅酸素やCPAP・BIPAPという呼吸補助装置を使用する場合があります。どの機械を使用するかは睡眠検査の結果や呼吸の状態によるので呼吸器科の医師に聞きましょう。
CPAPとBIPAPの違いとメリット・デメリットなどは下記サイトがとてもわかりやすかったです。
まとめ
軟骨無形成症と睡眠時無呼吸症候群が密接に関係していることがわかってもらえたのではないかと思います。
特に赤ちゃん~幼児期の呼吸問題や呼吸管理はとても重要です。医師と相談のもと、その子に合った治療をして、呼吸問題に向き合っていきましょう!
小児の睡眠時無呼吸症候群についてはこちらのリンクが詳しくてわかりやすかったのでこちらもぜひ参考にされてみてください。
=参考文献=
睡眠時無呼吸なおそう.com
グレースメディカルクリニック 小児の睡眠時無呼吸症候群
小児の睡眠呼吸障害と閉塞性睡眠時無呼吸症候群


