こんにちは!軟骨無形成症を持つ息子・モーリーの母、えりかです!アメリカで3人の子育てをしています!
4年に1度盛り上がるオリンピック・パラリンピック国際大会…夏季大会と冬季大会が交互に来るため実質2年に1度楽しめる世界でも最大のスポーツイベントですよね!
実は低身長症もパラリンピックで活躍する選手がいて、様々な障がいをもつ方々と一緒にメダルをつかむことを目標に熱い闘いを繰り広げています。
今回は水泳の国際大会で活躍の後、パラリンピック大会を目指してパラ水泳日本代表選手として活躍さた冨樫航太郎選手のインタビューをさせていただきました。水泳を始めてから今現在の活動まで…そしてパラ水泳選手になる過程を綴っていきたいと思います。

冨樫選手がパラリンピックを目指すまで…
北海道札幌市出身の冨樫さん。乳児期から親御さんがプールに入れてくれていたため、プールは幼いころから親しみがあったそうです。
1歳前に水頭症という合併症を発症。脳神経外科でシャント手術という手術を受けました。その後、脳神経外科の医師の勧めもあり、水泳を始めることに…小学5年生の時に本格的に水泳教室に通い始めました。はじめはただ楽しいということで楽しく参加していました。
大きな転機になったのは2012年、中学生の時にロンドンパラリンピックでエリー・シモンズ (Ellie Simmonds)さんが女子400m自由形で優勝し、金メダルを獲得したのを見たことでした。同じ軟骨無形成症を持つ彼女が世界の舞台ですごいピッチで泳ぎ、優勝した姿を見て「僕もこんな選手になりたい!」と思ったのがきっかけだったそうです。
シモンズ選手が優勝した2012年ロンドンパラリンピックの決勝レースはこちら🏊
実はレースを見てわかるようにかなりの接戦でアメリカのビクトリア・アレン選手がレース序盤からずっと1位をキープして泳いでいましたがラスト70~80m地点でシモンズ選手が追い越して見事に逃げ切って優勝しています。そしてこのレースでシモンズ選手は、優勝だけでなく世界記録も更新しました!
シモンズ選手はこのロンドンパラリンピック以外にも北京やリオでのパラリンピック水泳で合計5つの金メダルを獲得した素晴らしい功績を残した選手です。彼女の存在が冨樫さんを国際大会で活躍する道へと導いていきました。
冨樫さんの水泳人生
ロンドンパラリンピックの翌年、着実にパラリンピックの夢に向かって頑張っていた冨樫さんはアジアユース国際大会(20歳以下のための国際大会)に出場します。この時、100m背泳ぎ、100m自由形、400m自由形、400m自由形リレーに参加しました。なんとこの大会でリレー以外の競技で優勝という偉業を果たします。
その後も国際大会で活躍。2015年12月のアメリカでの国際大会では1500m自由形で世界新記録を叩き出し、歴史を刻んだ活躍でした。

しかし、パラリンピックに向かって頑張るものの出場のために突破しなくてはいけない標準記録の壁は想像以上に高いものでした。25歳になるころ、肩の痛みから今までのように十分な練習ができないようになり、今後の水泳人生について考えるようになりました。そこで「パラ水泳を広めたい!水泳の楽しさを伝えていきたい!」と思うようになりました。
パラ水泳日本代表という最前線から引退した今もパラ水泳への認知活動と水泳の楽しさ、魅力を伝えるために奔走する冨樫さん。現役選手時代は毎日の激しい練習・トレーニングに加えてお仕事…大変過ぎてネガティブな感情を感じるときもあったそうです。でも選手を引退してからはより水泳を楽しめるようになったとおっしゃっていました。
低身長症の方がパラリンピックに出場するためには…
低身長症の方がパラリンピックに出場するためにはいろいろと条件があります。どんな条件があるのでしょうか?見ていきましょう!
クラス分け
パラリンピックでは障がいの特徴や軽度~重度などによってスポーツで競うにあたって障がいのクラスを分けて公平な勝負ができるようになっています。
パラ水泳はただ背が低いだけでなく、骨の成長特性などにより競技パフォーマンスに影響を与えるレベルの低身長である必要があります。日本パラ水泳連盟の規定などに基づくと、一般的に以下の数値が目安の身長となります。
女性:130cm以下 男性:137cm以下
単に全体の身長だけでなく、腕の長さ(リーチ)や、身長と腕の長さの合計値なども細かく測定されます。これは、水泳において「腕の長さ」が推進力に直結するためです。
医師や理学療法士などの専門家による陸上テストや水中テストを受け、公式なクラスが認定されます。 多くの低身長の選手は S6クラス に入りますが、体格や運動機能によっては S7クラス になることもあります。
競技的条件(タイムの壁)
クラスが決まったら、次に世界レベルのスピードが求められます。国際大会ごとに設定される 参加標準記録 (MQS) を突破しなければなりません。 日本の国内選考ではパラリンピック選考会にて決まります。パラリンピック開催年の選考会で日本パラ水泳連盟が定めた派遣標準記録を突破を目指します。 選考はこの選考会での泳ぎ一度きり。ほかの大会で記録を突破していても基本的には選考されないとのことです。
S6クラスってどんなクラス?
低身長症の人が認定されやすいS6クラスは、半身まひや、手足の複数に欠損や切断がある選手が分類されやすいクラスでもあります。
水泳では「水を掻く力」が非常に重要になります。 まひや手足に欠損がある選手は、泳ぐときのバランスを取るのが難しくなりますが、残されている腕や足のリーチは長いため、一掻きのパワー(推進力)は非常にパワフルです。
一方、低身長症の選手の場合は、身体の左右のバランスは取りやすい=軸はブレにくいものの、手足の長さ(リーチ)が短いために一度に水を掻く力や量がどうしても少なくなってしまいます。そのため、「短いリーチでいかに効率よく水を掻き、ピッチ(回転数)を上げて戦うか」が、勝利への大きなキーポイントになります。
冨樫さんにとっての水泳
冨樫さんにとって水泳とは?と聞くと強み・武器になったとおっしゃってました。水泳があることで前向きになれたし、周囲に興味を持ち、コミュニケーション能力もつけることができたそうです。水泳を通していろんな体験をし、いろんな人と出会ってきたことで水泳が自分の最大の強みになっていったそうです。

大学時代の先輩が以前、冨樫選手にインタビューされたことがあり、冨樫さんの歩みや感じてきたことを語っている動画があります。冨樫選手の雰囲気や人柄が伝わる素敵なインタビュー動画なのでよかったら見てみてください!
まとめ
私のように子供が軟骨無形成症を持って生まれたり、低身長症として生まれたご本人・家族にとって冨樫さんの歩んできた素晴らしい活躍と功績はとても大きな希望を与えてくれるものだと思います。
実は私の運営する低身長症・骨系統疾患とそのご家族のためのコミュニティ、Little people of Japanの立ち上げの際に開催したイベントにも参加いただき、お話をしていただいたことがあります。

紳士でとても優しく丁寧にご対応いただきました。その姿やお話の仕方、向き合い方が今までまっすぐに努力されてきた人柄を表しているように思いました。また、イベントもインタビューも二つ返事でOKしていただき、水泳のことを話す冨樫さんがとても明るく楽しそうなことやパラ水泳に対する情熱を本当に強く感じました。実際にお会いしてみてお話しても、インタビューさせていただいても感じたのがとにかくかっこいい…!柔らかく優しい雰囲気の中に芯の強さがある感じがただただかっこいい!!と思いました。
現時点ではまだ確定している予定はないそうですが、将来的には低身長症の方のための水泳教室を開催したい!そう強くおっしゃっている姿を見て、今後がますます楽しみだと思いました。我が家の息子・モーリーももう少し大きくなったら冨樫さんの水泳教室に参加してほしいなと思いました!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

